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近野義人のブログ

ゴールデングランプリ川崎 800m走を観て

投稿日: 2016年 5月 20日 金曜日

先日行われましたゴールデングランプリ川崎では、男女の800m走のレースが行われました。日本人選手は順位を取りに行くのではなく、男子はオリンピック参加標準の1’46″00を目標に、女子は現状からすると2’03″00を切ることを目標にしたレースだったと考えます。

結果としてどうだったでしょう?
男子の優勝はエリック・ソウィンスキ (USA)で記録は1’45″92で、日本人トップは5位の川元選手(スズキ浜松AC)で1’48″01でした。
女子の優勝はティグストアセファ・テセマ (ETH)で記録は2’00″66で、日本人トップは5位の北村選手(日体大)で記録は2’04″57でした。
男女のトップはどちらもオリンピック参加標準を切るタイムで、これに合わせることができれば男子は目標を達成し、申し分のないレースだったのではないでしょうか。ですが、実際にはそんなに簡単な話しではありません。しかし、日本人選手達も練習経過を聞く限りでは記録を狙える準備ができていたと思いました。

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今回のレースで記録を左右したポイントは何だったでしょうか?レースを観ていて感じたのは、200mから400m地点までの速度の変化が分かれ目だったと思います。記録を狙うには、極端な減速を避け、余力を蓄える区間をつくることが必要になります。
では、もっと具体的にレースを分析する為に、レースの区間毎のタイムを手動で計り、それを基にどこがポイントであったのかを男子のレースを例にして考えたいと思います。

男子800m

静岡-川崎レース分析(男子)
先ずは選手別に見てみましょう。トップのソウィンスキ 選手は300m~500mまでの区間に溜めを作り、勝負どころと言われている500mからのペースアップをしています。川元・横田両選手は200m~300m・500m~600mの区間、中村選手は300m~400m・600m~700mの区間に減速が見られます。
次に予想していた200m~400mのタイムを選手別で見ます。

ソウィンスキー選手26″60(12”93/13″67)
川元選手は27″19(13.76/13″43)
横田選手は27″27(13″68/13″59)
中村選手は27″80(13″70/14″10)

ソインスキ選手と中村選手は300m~400mの区間で区間別で2番目に遅いタイム、川元選手と横田選手は200m~300mの区間で区間別に2番目に遅いタイムでした。次に比較したいのは120m~200mの区間タイムと200m~300mの区間タイムの差です。

ソウィンスキ選手12″60/12″93(+0″33)
川元選手12″89/13″76(+0″92)
横田選手12″75/13″68(+0″93)
中村選手12″61/13″70(+1″09)

ソウィンスキ選手と日本人選手達の差は約0″6近くの減速の違いがあります。そして、川元・横田両選手は300m通過での減速を取り戻すように、次の区間でペースアップをしています。タイムから見ても、やはり200m~400mの速度の増減がレースに影響を与えていることがわかります。

1’46″00というタイムを狙うにはやはりトップになったソウィンスキ選手のレースパターンを参考にするのが良いと私は考えます。
120mで加速に乗せ、200m~500mで減速を抑えて走り、残りの300mで切り替えてゴールを目指す。ですが、理想通りにレースができないのが中距離走です。
一瞬の判断の違いがタイム・順位に影響する。レースの流れの中で自分の目標とする結果を出すために必要な感覚を『レース感』とするならば、今回のレースの『レース感』とは記録を狙う『レース感』で、自分の走る速度・力加減・疲労感とレースの流れや経過を判断してペースの調整をする感覚と考えます。この感覚が薄れていると位置取りやペースの増減に対応ができず、目標とするタイムを達成することは難しくなるのではないでしょうか。
今回のレースで実感したことを今後に活かし、是非オリンピック参加標準記録突破に期待したいと思います。

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