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弘山勉のブログ

股関節の動きと役割、その先にある連動~その3~

投稿日: 2017年 2月 17日 金曜日

今回は、骨盤が前傾したままの場合を例にして

地面を押しながら大腿骨も角度を変えて後ろに押し込まれ(運ばれ)ます。普通に考えれば、股関節を伸展させたいので、後ろのほうまで持っていかないと伸展されないことになります。

しかし、そうはならないところが、このタイプです。腰に力を入れて無理やり骨盤を前傾した状態にしているので、大腿骨が前に出にくいのです。

骨盤を前傾して股関節の屈曲状態を作っていくつもりが、逆に、股関節屈曲の度合いが小さくなってしまうことも十分にありえるのです。

結局のところ、股関節の屈曲がされにくく、股関節が伸展ぎみに接地することになってしまうと思います。必然的に、膝関節も伸展していることになりますので、残された足関節を積極的に使わなければならない・・・ということです。足関節(足首)で走っても、速く走れないですし、持続力も低下しますから、パフォーマンスアップは期待薄です。

ですが、このタイプでも深い前傾姿勢を取れると、股関節と膝関節が屈曲しそうなので、膝の伸展動作まで持っていけそうな気がしてきます。

ですが、骨盤(股関節)が2次元に近い動きしかできないので、実は、膝の伸展動作ができにくいのです。重心移動して地面を押すことでしか進めないので、地面を押した後に、膝を曲げて蹴り上げるような動作になるのが落ちです。

その理由を書くのは、難しいですが、関節の“曲げ伸ばし”か“屈曲伸展”か、という差です。砕いた表現を用いるならば、“縮み伸び”ができるかどうかです。腰に力を入れて骨盤を前傾したままの人は、ほとんどの関節の“縮み伸び”ができにくいということです。どちらかというと伸びたままのほうが多いかもしれません。

しっかりと屈曲や伸展をさせる場合は、骨は関節を介して回転や回旋、捻転をするはずですが、その主導役(や調整役)を腰部が担っていると思っています。

骨盤が前傾したままで、違うタイプもあります。上体が前傾できずに、上体が立っている場合です。

上体が立っているので、重心を下げて関節の屈曲状態を作らなくてはなりません。場合によっては、重心を下げながら乗り込み動作を続けなくてはならなくなります。

重心を下げて膝関節の伸展までもっていく動作は、不可能ではないですが、脚筋の負担が大き過ぎて、難しいと思います。よって、膝関節が伸展動作をあまりすることなく、足を蹴り上げるという1ストライドの終点に向かうわけです。

骨盤を前傾させて上体が起き上がっているタイプの人を見てもらえばわかりますが、重心が下がり、膝の屈曲が強いままとなり、伸展動作がされない場合が多いと思います。このタイプは、膝周辺やハムストリングス、腰も痛めやすいことでしょう。

写真は、アスリートの中村ですが、彼は、腰に力を入れて骨盤を前傾させて走るので、実はこのタイプに属します。乗り込み動作は上手いのですが、重心が低く、足の蹴り上げ動作が大きいです。

そのために、脚が出るのが後手に回るので、なおさら重心を高く保てないという悪循環になっている動きだというのが私の見解です。(骨盤の後傾がおそらくできていないと思います。説明のために、写真には後傾気味に黄色い線を入れていますが)

一方で、骨盤を前傾したままのタイプで重心の高さを維持して速く走れる人がいるのです。その人は何をしているかというと、基本的に上からの乗り込み動作が上手です。しかも、大腿骨を回内(内転)させ、膝関節を屈曲させ、下腿を外旋させることで膝関節の伸展動作を可能にしています。

骨を内外転・内外旋させて、身体(関節)の伸び縮み動作を作り出しています。本来は、この動作を骨盤が担うのですが、代わりの動きを膝関節(や骨)の捻りで補っていることになろうかと思います。

この動きをすると重心を下げることなく膝関節の屈曲伸展が可能となるのではないかと考えています。ただし、この動きでは距離を持たせる(持続力を高める)ことは難しいと思います。

さらに言うと、かなりリスキーな身体の使い方で、当然のこととして、スポーツ障害発症の確率が高まります。いろんな箇所に痛みが出てもおかしくないでしょう。

股関節の動きが、フォーム全体に及ぼす影響を少し書いてみました。負の連動というと言い過ぎかもしれませんが、実際はそういうことになるのだろうと思います。

以上、今回はここまでとして、次回は、骨盤の後傾の話題で書いてみたいと思います。

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