弘山勉のブログ
一流選手の走りから見えるもの①(代表例:大迫選手とラップ選手)
投稿日: 2018年 5月 11日 金曜日
前回までに触れたことを絡めて、一流選手の例を挙げて、もう少し踏み込んだ内容で書いてみたいと思います。具体的に、一流選手がどんな動き(フォーム)で走っているのか、速さの秘訣と特徴を示してみます。
前回までに再三に渡って書いてきた通りですが、足の地面へのコンタクト方法で可能な動きと不可能な動きが出てきます。足関節の動きが、下半身の各関節の動き(連動)に影響するので、一般的には、接地方法で動作分類はできます。しかし、一流選手の場合、それが当てはまらないケースが生じます。
その選手が有する走動作テクニックによっては、複合する動作(通常では難しい動作)をすることができますので、一流ランナーの動きを接地の仕方で分けるのはナンセンスと言っておきます。ポイントは「各関節の動きや位置が各動作局面でどうなっているか」です。
一流ランナーではフォアフット走法が多いとは思いますが、それは接地している足の部分を指しているに過ぎず、「実際にどのような身体の使い方をしているか」までを示しているわけではありません。フォアフット走法でも、タイプは何通りかに分かれるような気がします。代表的な例としては、3+1通りあるでしょうか。+1としたのは、かなり特殊な動作(能力?)だからです。独断と偏見で、それぞれのタイプに当てはまる選手も挙げて説明してみます。
①ミッドフットに近い捻転動作ができるタイプ
前回に示したように、足関節の角度によっては、踵は浮いていてもミッドフットに分類するべきタイプです。
大迫選手やラップ選手がここに当てはまると思います。オレゴンプロジェクトの二人が入るのは、私の先入観でしょうか(笑)。ただ、大迫選手はフォア寄り、ラップ選手は、ミッド寄りかなと感じます。
下記の連続写真は、大迫選手の走り(福岡国際マラソンのテレビ画面を携帯で撮影して、キャプチャ画像化して連続で繋げたもの)です。上体の使い方(主に捻転動作)から下半身の屈曲・伸展動作を作り出せる素晴らしいフォームです。逆に、下半身の動作から上半身を捻転させられると言っても間違いではないでしょう。全身の連動ができる走りです。
興味が湧くのが、トラックとマラソンで走りを少し変えているのでは?ということ。マラソンはスピードが遅く距離が長いので、トラック競技に比べて(いつもより)股関節を積極的に使っているように見えます。マラソンを走り切るための動きの工夫をしているのではないでしょうか。
しかし、その分、沈み込みも大きくなっているような・・・。トラックは反力をより利用して走っているのに比べて、動きで推進力を生み出しているのかもしれません。少し上下運動が大きくなっているように見えます。
フォアフット(底屈)の度合いが強いと、股関節を使っても力発揮が上方向に向かいやすいので、下の日本選手権1万mの走りよりも、フィニッシュ(両脚が中に浮いた時)で胸を張るような姿勢ととっているのではないかと推測します。
下のラップ選手の写真と大迫選手の日本選手権の走り(上の写真)を見てもわかるように、地面を押した後のフィニッシュで体幹(胸)を上に浮かせずに、前方に出しています。
全体的な走速度や後述する④の動きが影響していると予想しています。このように、多くの一流選手は、走速度や走行距離で動きを微調整する(修正をかける)能力が優れているのがわかります。
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