弘山勉のブログ
一流選手の走りから見えるもの“今回の総括” ~狙うレベル(距離とタイム)で求められるフォームは違う~
投稿日: 2018年 5月 11日 金曜日
以上、とりあえず、一流選手のフォアフット走法を下記の代表的な4(3+1)つに分けてみましたが、
①ミッドフットに近い捻転動作で走るタイプ
②前傾姿勢からスムーズな重心移動で走るタイプ
③乗り込みと地面反力で走る典型的なフォアフットタイプ
④地面を捕まえて引き寄せられるタイプ
それぞれに綺麗に分かれるわけではなく、一流選手には、その中間の走りも存在します。そのくらい複雑であり、複合する要素が沢山あります。
それぞれ特徴があり、「どの距離を」「どんなスピードで」「走りたいか」で、求められるフォームは違ってきます。
例えば、1500mを3分40秒以内で走りたいのであれば、それ相応のパワーと伝達能力が必要です。フォームにこだわらずにエネルギー代謝系の能力をフルに高めても、この記録に到達することは難しいと思います。
同じように、5000mでも、1万mでも、マラソンでも、筋育とパワー、エネルギー代謝系、伝達能力を正しく評価して、走破距離を目標とするペースで走りきるスピードとエコノミーを追求しなければなりません。
どんなにパワーやエネルギー代謝系、エネルギー貯蔵量、酸素摂取&運搬能を高めたとしても、伝達能力が低いとエネルギーの浪費になります。ランニングフォームが悪い(例:スピードが出ないフォーム)と、走速度が上がれば上がるほどに、力で走ろうとするために浪費量は増えるでしょう。
ある速度の境界線(限界)からは、十分な力さえ発揮できなくなり、簡単に失速してしまうことになります。LT(乳酸閾値のように、フォームが対応できる速度にも境界速度があります。
自分が対応できる速度を正しく知っておくとトレーニングやレースの組み立て方に役立てることができます。
④は特別な動き(オプション的なプラスα)として考えたほうが良いので、①〜③の同じフォアフット走法でも、距離やスピードに得意不得意が出てきます。典型的な動きの場合で比較すると、
スピードという観点では、
③≧①≧②
スピード持続力という観点では
①≧②≧③
エコノミーという観点では、
②≧①≧③
と独断と偏見で順序を示してみました。あまり深い意味はありませんが、何となくでいいので「どんな動きを身に付ける必要があるのか?」をイメージしていただく材料にしていただきたい。
勝つための戦法や戦術のヒントにもなれば幸いです。
遊脚の動きやタイミング、足関節(足首)の角度(底屈や背屈の度合い)などで、いくらでも走能力は増減します。試行錯誤は面白い作業になります。
本来、①と②を複合することは難しい動作になります。前傾姿勢をとって上半身を捻転させることは簡単ではありません。
(少し古いですが)私が大好きだったヒシャムエルゲルージ選手(モロッコ)やファラー選手は、①と②を見事に両立させています。ただし、二人の特徴は少し異なりますが。
せっかくなので、次回に向けては、この二人のことを書けるテーマを(複合動作で)考えてみたいと思います。
多忙を極めており、なかなか書く暇がありませんが、頑張ります・・・(笑)。
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