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弘山勉のブログ

【基本シリーズ】接地を先に意識した場合の他への影響(長距離編)

投稿日: 2014年 11月 12日 水曜日

前回、基本って何だろう?ということで、ランニングフォームについて、少し書かせていただきましたが、今回は、接地からの逆説「身体のパーツを先に意識した場合のランニングフォーム」について、私なりの考えを述べたいと思います。

まずは、前回に引き続き、ハーフマラソンで14分もタイムを短縮されたランナーの方について。あれからフルマラソンも走ったそうで、今度は、24分も自己記録を更新したとの報告がありました。ほんとうに嬉しくなります。

その方は、「手足の使い方が素晴らしい」と書きましたが、何が優れているのかというと

一番に挙げるならば、「足の接地から離地まで、あまりブレーキがかかりそうにない走り」でしょうか。地面の捉え(地面を足で掴み)方と腕の使い方が非常に上手だったと今でもその走りが頭に浮かびます。

具体的に言うと、地面に踵から着いて、腕を使って、重心移動をスムーズに行えるんですね。

肩や腕に過剰な力みがなく、man running across the bridgeしなやかに動いてました。これって、なかなかできないことなんですよ。手足の使い方だけに限れば、相当なスピード持続力が発揮できる動きができていました。これは、天性のものなのか、後天性のものなかは、もちろん私にはわかりません。

たったの一度レッスンしただけですから。

ただ、惜しかったのが、体幹の姿勢や重心位置、肩関節の使い方でした。これらを1回のレッスンでできる範囲で改善を図りました。その1回のレッスンでは、マイナス要素を改善することに主眼を置いて指導させていただきました。プラス部分が大きいフォームだったので。

しかし、この短期間にここまで記録を伸ばすとは、恐れ入りました!

おそらく、そのアドバイスをトレーニングにおいて、忠実に実践していただいたのでしょう、きっと!

拍手を送りたいパチパチ!

さあ、ここからが本題です。今日の着目点は『接地』です。

「接地は、身体の9のポイントが影響している結果に過ぎない」ということを前回話しましたが、接地の仕方を意識して走った場合の他への影響を逆に考えてみたいと思います。

理想は「つま先接地か踵接地か」という議論は、大いに賛否が分かれるところでしょう。

これについては、良い悪いと結論付けるのは、ナンセンスだと思います。

その理由を詳細に語ると莫大な量になりますし、難しくなるので、ここでは敢えて書きませんが、(チャンスがあれば、Labの推奨理論で書かせていただきます)言えることは、「重心位置や重心移動、走スピードという観点で判断してください」でしょうか。

接地_1

例えば、つま先接地は、足首(足関節)を固定しないとできませんよね。もし、足首が緩んでしまったら、つま先で着地した後に、踵や足部の内外どちらかを着いてしまいます。いうなれば、これはブレーキにしかなりませんから、当然、推進力という点では、大きなマイナスとなります。そうならないように終始つま先で地面を捉え続ける必要があるのですが、そうするためには、多くの筋肉が働かなくてはならず、相当な筋力も必要になってきます。

(スピードが遅い長距離走で語ると)つま先接地で走っていい人は限られます。重心位置が高く、なおかつ前に位置している人。つまり、接地時に膝屈曲角が小さい(膝があまり曲がっていない)姿勢を作れることが条件です。ですから、あまり前方で接地しないことが求められます(速いスピードの場合を除きます)。

膝を曲げた状態でつま先接地して歩いてみてください。きっと、足や脚のいろんな箇所が苦しくなるはずです。スピードを出さないでつま先接地で走ると膝関節が曲がらないチョコチョコ走りになってしまうのはそのためです。

では、真逆の『ベタ足接地』を想像してください(摺り足でもいいです)。そして、その場で歩いてみてください。膝を曲げないと前に大きく進めませんよね。当然ながら、結果的に重心が下がります。

接地_2

私が何を言いたいのか、わかっていただけると思います。接地で身体の使い方や重心位置が変わってしまうのです。(つま先とベタ足は、両極端の例えです)

では、次に「つま先立ち」と「ベタ足」のそれぞれで歩き続けてみてください。

どちらの場合も足を緊張させ続けなければならいことを実感していただけると思います。

表現が難しいですが、つま先接地はアイソメトリック的な足の使い方、ベタ足接地はアイソトニック的な使い方と言えなくもないと思います。つま先接地は「関節固定型」、ベタ足接地は「関節可動型」。面白く例えるなら、「竹馬」VS「キャタピラ」でしょうか(笑)。

これ以上は、複雑な解説になるので、これくらいにしておきます。

力の入れ方や脚の使い方は違いますが、どちらの場合も、筋肉にずっと力が入っている状態が続くことがわかっていただけましたか?

長い距離のランニング動作は、筋肉の緊張と弛緩が必要になってきます。それは、筋肉が休む場面を作ってあげないと筋肉の持続力は低下していくからです。故障のリスクが増すのも想像に難くないと思います。

要は、接地を先に意識すると他のいろんな動きが決まってきます。自分の走りができない可能性があるわけです。末端を意識すればするほど、重要なポイントが崩れると思ってください。

だから、できるだけ、接地を意識することはやめましょう。この部分は、自然でいいです。

そんなことよりも先に意識しなければならないポイントは山ほどありますよ。長距離に限れば、接地という末端の動きは、最後のほうの意識であるべきです。私は、そう思います。

踵からの接地については、またどこかの機会に書かせていただきます。

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