弘山勉のブログ
【基本シリーズ】速く楽に走るための『脚の出し方』
投稿日: 2014年 12月 26日 金曜日
今回は、ランニングにおける「効率よく脚を前へ出すには」というテーマにしたいと思います。
足(脚)を前に出すと言っても、ポイントはたくさんあります。
前回のテーマの流れで、地面を押すことが脚を前に出すことにつながることも少し説明していきます。
足を前に出したいなら、まずはしっかり地面を押すことが最も重要です。
これは忘れないでほしいところです。
ただ、足(シューズ部分)を前に出すことで進むと思っていらっしゃる方、多いような気がしています。この足の部分は、最後の最後の意識であり、その前に意識したいポイントがいくつかあります。
※意識したいこと
①脚を前に出すには、まずは地面をしっかり押すこと
お尻の筋肉と太もも(大腿)裏を使って軸脚で身体を支えながら地面を押すと、『振り子の原理』で、押した後に脚が前に戻りやすくなります
②上体の前後の筋肉をきちんと使うこと
背中を使えると脚は出やすく、お腹を使えると地面を押しやすくなります
③太ももの前と後ろの筋肉(主に大腿四頭筋と大腿二頭筋)をきちんと使うこと
主動筋と拮抗筋が伸び縮みを相互に交互に繰り返すことが脚の運びをスムーズにします
④脚を畳んで、膝を出していくこと
『慣性モーメントの法則』を利用するために、振り易い脚のかたちを作ります
(短い棒は振り易いですよね!)。
出す脚の速度も走りの速度に大きな影響を与えるのです
⑤膝を出した後に、足を前に出すくらいで丁度良い
足先を前に出そうとすると脚が長い棒のようになるので、脚を運ぶのにエネルギーを使います
⑥余分な力を抜くこと
リラックスしないと脚は速く動かせませんし、④と⑤の使い方もできません
ピッチャーが腕を速く動かすのに、必要以上に腕に力は入れないはずです
写真は、3人のランナーでタイミングがちょうど合っているものですが、膝下の形が違いますよね。
誰が速いと思いますか?
一番後ろのランナーが最もスピードがあります。
地面を押すほうと逆の脚の使い方も重要なことがおわかりいただけるはずです。
※注意したいこと
①地面を蹴るように押すと、足は蹴り上がり(より後方に)、足の戻りが遅れがちになる
後方にいった足を戻すのにエネルギーを使いますし、時間も要します
②脚(足)を前に出すことを意識し過ぎると、上体が反ったり、腰が引けて重心が後ろになる
「※意識したいことの①~⑥」を実践すれば、脚は前に出やすくなりますから、脚を前に出す意識は要りません。
脚が前に出なければ転びますから、自然と脚は前に出ます。心配要りませんよ!
最後に、ちょっと難しい内容を
ランニングの場合は、足裏が作用点(身体外部に力が作用する箇所)なので、ふくらはぎ(下腿三頭筋)は筋が伸び縮みせずに等尺性に近い使い方をしたほうがいいので、足首を使って蹴る動作はマイナスとなります。足首を使い過ぎると弾性エネルギーの利用がしにくくなるので、スピードが出ないし、脚が前に戻りにくいというデメリットが生じてしまいます。
ランニングは、地面を押して進むのですが、逆脚(遊脚)の使い方もスピード、つまり、ランニングエコノミーに関わってくるのです。
意識できる方は、いろいろと試してみてください!
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