弘山勉のブログ
【基本シリーズ】下腿(膝から下)を押すために持つイメージ
投稿日: 2015年 2月 4日 水曜日
前回、「脚を振り下ろす」イメージで言いましたが、その後の続きの話しをしたいと思います。
「振り下ろす」という表現を使うと叩きつけるようなイメージを持たれてると思いますが、長距離の場合は、サッと下ろすイメージでいいでしょう。
振り子の原理で足(シューズ)は前に出ていきますから、動いている脚を軽く振り下ろすような感じです。力を入れる必要も、動いている脚を止める必要もありません。
足を下ろす時に、自分の身体(上体)がどこにあるかを感じながら下ろせるとなおいいですね。
なぜ振り下ろすイメージが必要かと言いうと、その後に待ち受ける『下腿を押す動作』に繋がりやすいからです。ランニングは、この下腿をどう押していくかというのがテーマになる運動です。
写真は、前に使った弘山晴美ランニングの一コマですが、下腿を黄色い矢印の方向に押し込んでいきたいところです。
この方向だと上にジャンプするかのような力の入れ方に見えますが、身体は前方に進んでいますから、上にはあまり跳ぶことなく、ベクトルが進行方向への推進力に向かうわけです。
ブルーの矢印で示しましたが、身体を前に進めるだけで、結果的には下腿を押すことになります。だから、特別に力を入れなくても、ランニングはすることができるわけですが、押す力は弱いというのは、イメージしていただけるでしょう。速く走るとか、パフォーマンスを上げるには、これでは限界があります。
赤で示したような身体の乗り込ませ方が、下腿を強く押すために必要な動作です。ランニングは小さなジャンプの連続運動ですから、わかっていただけるはずです。
ですが、何もわざわざジャンプする必要はありません。イメージを持つだけでOKです。
前回、「膝を固定するイメージで」ということも書きました。
脚をイラストで示してみましたが、膝が前に出ていかないようなイメージを持って走るといいでしょう。そうすると膝を伸ばしながら、大腿部が下腿の上に上がっていき、上から押し込む動作に近づきます。
脚を振り下ろすように接地すると、この動作へスムーズに移行しやすいと思います。身体がグンと進む感覚が得られるはずです。
下腿を棒だと思って手で押し込もうとしてみてください。手で持つところが前に倒れていったとしたら、どうなりますか?強く押せないし、押しにくいですよね。手元がグラついても同様です。
作用点に力を加えていきたいのに、支点が動けばマイナスに働くことは明白でしょう。
ブルーの矢印で示したような前に進むことで結果的に地面を押している方は、膝が前に動きやすく、膝も伸びにくいはずです。押す力は半減するばかりか、重心は落ちていってしまいます。
しかも、重心の落ち込みを防ぐために、次の一歩を早く出さないといけなくなるので、ピッチ走法になりがちです。脚を運ぶという感覚になりますし、脚を運ぶためにエネルギーをけっこう使うと思います。なぜなら、これも前に話した通りで、振り子の原理を利用するのではなく、自分の力で振ることになってしまうからです。
押すためにエネルギーを使うか、運ぶために使うか、という議論になってしまいますが、高いパフォーマンスを発揮するためには、押すほうに使ったほうが断然有利ですよね。
皆さん、このイメージを持ってほしいと思いますが、違う筋肉を使う場合もありますから、あまり無理せずに試してみてください。
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