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弘山勉のブログ

速く走るために重心を前方に持っていく理由

投稿日: 2015年 6月 1日 月曜日

ランニングは、自分の身体を使って、自分の身体を速く遠くに運ぶ運動です。それを決まった距離で速さを競うのが競走になります。

それをもっと詳しく説明するために、四肢(両腕と両脚)を使って、頭部と頸部、胴体を運ぶ運動と言い換えてみます。すると、いろんなことが見えてきます。

まず、最初に、身体パーツの重さって、ご存知ですか?
説によって異なりますが、一つの説(統計?)では、おおよそ下記の通りです。
( )内は、体重60kgの場合の重量

頭部と頸部:  7%(4.2kg)
胴体:    43%(25.8kg)
腕1本:  6.5%(3.9kg)
脚1本: 18.5%(11.1kg)

自力で運ばなければいけない『頭部と頸部、胴体』の総和で体重の約50%となっています。つまり、体重60kgの人は、30kgもの重量を手足を使って運んでいることになります。(「四肢=手脚」の合計も30kgあるのですが、今回は四肢は省いて考えます) ランニングって、けっこう大変な作業をしているのです。

そのランニング時には、運ばなければいけない『胴体の重心を前に持っていく』と良いことがたくさんあります。その理由を具体的に示してみたいと思います。

その前に、確認ですが、頭部と胴体を一つの物体としたときに、重心位置はどのへんでしょうか?何となく、胃あたりかなと思うわけですが、わかりやすくするために、棒に例えます(直径が変わらない棒の場合、重心は中間点にあります)。

①重心方向への加速度運動を利用できる

子供の頃、「掌に棒を乗せて、前方に倒して速く走る遊び」をしたことありませんか? 皆さん経験あると思いますが。前方に倒せば倒すほど速く走らないと追いつけません。胴体はまさしくこの棒と同じです。

棒(胴体)を倒すと、重力方向に加速度運動を自然に始めます。それに合わせて脚(作用点)を運べば、労力をそれほど使わなくて済むわけです。(空気抵抗や作用点の移動など理論的にはありますが・・・・まあ、いいでしょう)

重心方向加速度運動の利用
これは、皆さんイメージしやすいと思います。前方への倒し過ぎは無理ですが、それについて詳しい説明は不要でしょう。

②地面反力を利用できる

棒を斜めにして落下させると、棒の先端方向に跳ね上がりますよね。ということは、胴体を前方に倒して(重心を前にして)接地すると自然と前に跳ね上がります。その反力を利用して前に進むことができますから、労力を使いませんよね。

持っているペンを斜めにして落下させてみてください。後傾して(身体を反って)走ると後ろに反力が向かってしまうのですが、ランニングは胴体が接地するわけではないので、脚で調整できるというわけです(③で少し説明します)。

地面反力の利用

短距離選手は、この原理を大いに使いますが、中長距離選手といえど、この原理を利用できるかできないかで、パフォーマンスは大きく違ってくると思います。

③垂直効力が利用できる

胴体が重力に引っ張られて倒れこむのを防ぎ、その高さを維持する場合は、垂直効力(重力に対する反作用)を働かせています。重心が前にあると重心を高く維持したまま垂直効力を働かせながら走ることができます

つまり、①と②で示したように、胴体の重心方向への加速度と地面反力を重力に抗って胴体を持ち上げるようにしながら、加速させるというわけです。

ところが、重心が後ろにあるとこの垂直効力を働かせるために、身体を沈めなければ不可能となってしまいます。そうしないと、垂直効力が後ろに向かってしまうからです。

垂直効力の利用

説明するのは難しいですが、胴体の重心が接地点の真上に運ばれてくるまで、地面を押すのを待たなければいけません。そのまま待つとブレーキがかかり続けるので、大抵の場合は、膝を曲げたり股関節を緩めたりして、身体を沈めていってブレーキを軽減させようとします。

なぜそうするかと言うと、後ろに倒れようとする棒を持ち上げようとすると重心方向=つまり後ろへ加速度が働いてしまいます。膝(重心)を下げてから押すか、重心の後ろに接地して地面を押すか、どちらかになります。

膝を沈めながら走れば地面を押す力は半減しますし、重心より後ろに接地して地面を押すと力を伝える範囲は小さくなります。どちらにしても、推進力は低下します。

言葉での解説は理解しにくいと思いますので、会員の皆様には、今度、実践指導する機会を設けたいと思います。お楽しみに!

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