EVOLUランニングクラブ

弘山勉のブログ

ランニングフォームで違う筋損傷箇所~自分の走りを知って、効果的な筋腱コンディショニングを~

投稿日: 2015年 8月 14日 金曜日

普段、私は、ほとんど走っていません。大学の練習でタイムをとるためにトラックを走って移動したり、給水をする際に並走する程度です(けっこうな走行量になる場合もありますが・・・)。なのに、ランニングクラブの練習会で、会員さんに混ざってスピード練習をしたり、上り坂を駆け上がったりしています。そのために、よく「ふくらはぎの筋肉」を痛めていました。

「ジョギングすらしていない」のですから、スピードを上げて急に走るのは無謀な行為で、筋肉を傷めるのは当たり前です。わかってはいるのですが、練習会に参加すると、なぜか走りたくなってしまうわけです。自分でも不思議なのですが・・・。

大学の練習やEVOLUの練習会では、意識するポイントを伝えながら、時には、見本を見せながら、効率の良いランニングフォームを習得してもらうよう努力しています(見本になっているかは、わかりませんが=笑)。ですから、何気ない走りでも悪いフォームで走るわけにはいかず、常に良い動きを意識して走っています。前回書かせていただいた、「筋肉の働きやアキレス腱を代表とする腱の弾性エネルギー利用」までも意識して走っています。

指導風景

そもそも、これが無謀!?

「歳を考えて走ったほうがいいですよ!」とEVOLUのスタッフには、よく言われます(笑)。

走った翌日は、当然、筋肉痛になります。以前は、ふくらはぎが歩けないほど痛くなったのですが、最近は、痛くなりません。あんなにも「すぐに傷んで困っていたふくらはぎ」は大丈夫なのは「何でだろう?」という感じがしていますが、それは、トレーニングの場面で、中村と一緒に、BCAAをよく摂取するようにしているから、筋肉の状態が良くなったのかもしれません。それしか理由が思い浮かびません。

しかし、ふくらはぎが痛くなってばかりいたのに、BCAAを摂取すると、筋肉の痛みは発症しなくなったが、その代わりに、今度はアキレス腱が悲鳴を上げる。やはり、日頃からトレーニングを継続しないといけないということなのでしょう。腱も鍛えないと組織が萎縮し機能が低下していくと言われていますから、当然の結果なのだと思います。

そこに対処法を考えるヒントが隠されています。

ここからが本題です。

今回は、筋肉や腱を痛めるフォームやそのポイントについて書きたいと思います。私のランニングフォームから、なぜ、ふくらはぎやアキレス腱が痛くなるかについても具体的に解説します。

まず最初に、筋肉痛になりやすい運動とは

私たちは運動するとき、筋肉を収縮させて力を発揮しています。この筋肉の収縮運動は、短縮性・伸張性・等尺性の3種類に分けられると前回も触れました。

このうち、特に筋肉痛になりやすいのが伸張性(エキセントリック)運動=筋肉が伸びながら力を発揮する運動です。筋肉を伸ばすときのほうが筋線維への負荷が大きくなるため、損傷が起こりやすくなるのです。下り坂を走るときは、フォームや速度に注意する必要があります。

筋収縮の種類

代表的な二つのランニングフォームから痛めやすい箇所(筋肉や腱)を説明します

■ 腰を反る(腰に力が入る)/ 膝が動く(膝が下がる)走り

重心が低いまま走る人に多いパターンです。膝を落としながら身体を乗り込ませますから、大腿部(ふともも)の全面の筋肉を伸ばしながら力を出さなければなりません。ふくらはぎよりも、太ももに筋肉痛が出やすいはずです。この走りの人は、大抵が腰に力を入れたまま走ります

腰の各関節が動きにくいので、脚が前に出にくいのです。そのために、重心を下げながら、身体を乗り込ませていくという動作をしなければなりません。(参照:重心を前に持っていく理由)出にくい脚を前に出していき、膝が落ちていくので、腰部と大腿骨を結びつけている大腰筋を筆頭に腰周りの筋肉は伸びたまま力を出さなければならず、負荷がかかり続けます。その動きを補うために梨状筋など他の腰の筋肉も常に緊張することを強いられます。それを放置すると腰周辺の痛みに発展していきます。

腰に力が入った走り

大腿部や腰の動きに関連する筋肉はひじょうに強く頑丈なために、大腿骨や寛骨が先に悲鳴をあげ、疲労骨折することも多々あります。

■ 身体の真下(より後ろ)に接地する走り

私はどちらかというとこのパターンです。私は現役時代に地面をできるだけ長く押すことを意識するあまり、重心が下がり、後ろで押す癖がついてしまったようです。今は、修正すべく気をつけて走っていますが、身に付いた走り(使い方)の癖は、なかなか直りません。

この走りは、身体よりもより後方で地面を押そうとするために、ふくらはぎの筋肉はかなり伸ばされます。私のように踵で地面を押そうとするとさらに伸ばされます。所謂、ふくらはぎの筋肉は、伸張性収縮を強いられ、筋繊維が損傷しやすいわけです。

アキレス腱の弾性エネルギーを利用するために踵側で地面を押そうとするとさらに伸ばされますから、ふくらはぎの筋肉には、相当なストレスがかかることになります。理論上は、ふくらはぎが痛くなって当然ということです。

このタイプの走りの人は、痛める箇所が二通りあります。
①骨盤を動かせる人は、ふくらはぎやアキレス腱を痛めやすい
②骨盤が動かない人は、腸脛靭帯や膝を痛めやすい

①は前述の通りで、(-身体の真下よりも後方で地面を押すので-)②の場合は、骨盤の動きを下腿が担わなければいけなくなるため、膝から下を回旋(内旋か外旋)させるのです(内旋か外旋かは、腕や肩の使い方によります)。つまり、膝から下を捻って地面を押すので、脚を伸展させる際に、内側広筋(外旋)や外側広筋(内旋)が働きます。腸脛靭帯にかなりの負荷がかかりますし、膝へのストレスも当然ながら大きくなります。腸脛靭帯を痛めやすい人は、骨盤の動きを改善することをお勧めします。

後ろよりの走り

伸張性(エキセントリック)運動をする筋肉の損傷は大きいです。この部分の筋肉のコンディショニングを怠ると腱や骨への負荷が増大しますので、軽いストレッチやアミノ酸(BCAA)やブドウ糖の摂取、水分補給、マッサージなどで筋肉の修復(回復)を促す必要があります。さらに、筋肉と骨を繋ぐ腱のアイシングも怠らないようにしましょう。

こうしたケアは、「その場しのぎ」なところがありますので、フォームを改善しなければ、同じ筋肉や腱に負担がかかり続けます。結果、同じ箇所を繰り返し痛めることになりますし、痛みをかばって走ることで、フォームが崩れることにもなりますので、注意が必要です。

例えば、後ろに接地するフォームのところで書いたように、「骨盤が動く」か「動かない」かで、負荷がかかる箇所が変わってくるのです。負荷がかかる箇所を把握し、ケアし、筋力強化していくと同時に、フォーム修正を施すことで、故障予防の効率が良くなります。痛くなってから施すのでは、遅いのです。

そうした正しい認識をしてもらい、怪我から遠ざけることを目的に、「再生道場」もスタートさせました。身体の仕組み、筋肉や関節、動きの関連性・連動性、などについて、学ぶことができる道場です。

コーチの近野は、これらの知識が深いだけでなく、競技と仕事を通して、長年で培った経験と感性があります。怪我や繰り返す故障にお悩みの方、ぜひ一度訪問してみてはいかがですか。

歩くのにも、「腰が痛い」「膝が痛い」という方、誰でもOKですよ!

EVOLUメソッドを体験しよう!

  • ランニングイベント
  • EVOLUランニングクラブ