弘山勉のブログ

高負荷ランニングと栄養と筋肉の関係

投稿日: 2015年 9月 23日 水曜日

三大栄養素は、炭水化物と脂肪、タンパク質ですが、高強度運動と筋肉の関係を考える場合、今までは、タンパク質は、運動後にだけ摂取すればよいと考えられていました。今では、そうではないことがわかってきています。このように、スポーツ栄養学も常に新しい情報が発信されています。

前回の記事で「オーバートレーニングにならない工夫」について書きましたが、秋の試合期に突入し、速いスピードで走るトレーニングが始まっていることと思います。今回は高強度運動時の「栄養と筋肉の関係について」もう少し踏み込んだ話をしたいと思います。

栄養と運動と筋肉①


◎高強度ランニング時に必要なエネルギーの産生

何といっても高強度運動に必要なのは炭水化物です。

高強度の(激しい)運動をする場合、筋グリコーゲンが積極的に使われます。「パワーを発揮する」「速く走る」ことがわかっている場合には、トレーニング前に筋グリコーゲンをたくさん蓄えておく必要があります。

高強度のパワーやスピードを発揮する運動の場合、次の順番、または、同時にエネルギーを産生します。

①筋グリコーゲンを分解して筋肉のエネルギーとなるブドウ糖を作り出す
②血液中のブドウ糖(血糖)←肝臓グリコーゲン
③血中アミノ酸を窒素代謝させてブドウ糖を合成する
④筋肉のアミノ酸を材料に窒素代謝させてブドウ糖を合成する

栄養と運動と筋肉②

④番目の要求(エネルギーを必要とする状況)が頻繁に続くと、せっかく作り上げた筋肉がやせ細ってしまうことになります。④番目の筋肉を分解(異化)させてまで、エネルギーを作り出す状況にならないために、運動前に炭水化物を摂取して①の貯蔵量を多くしていく必要があります。運動中に吸収率の良いブドウ糖が入ったスポーツドリンクを飲むのも効果的です。

 

◎筋肉を分解させないための準備(BCAAの摂取)

しかし、どんなに筋肉と肝臓にグリコーゲンを蓄えさせても、高強度の運動や高負荷の長時間運動を実施する場合は、③と④のアミノ酸分解によるエネルギー代謝は避けて通ることができません。

例えば、普通にハーフマラソンを走ると、BCAA(筋肉を構成するアミノ酸の3分の1を占める)の消費量が7200mmgにも達すると言われています。それほど速く走るわけでもないハーフマラソンでこれだけ消費するわけですから、常に④の筋肉の分解がなされていると考えていいのかもしれません。当然ですが、速く走るほどにBCAA消費量が高まっていきます。

④の筋肉を分解させないために、運動前にアミノ酸(BCAA)を摂取して、血中アミノ酸(BCAA)濃度を高めておくことが求められます。③の利用率を上げれば、④の利用率は下がるからです。(これは、前回の記事で書いた血漿CK活性のデータが証明しています)

 

◎筋肉の分解を抑制する運動後のブドウ糖摂取

今の流行りは、運動直後30分までのゴールデンタイムと言われる時間帯にアミノ酸を摂取することです。これは、もう10年以上前から唱えられており、スポーツ選手の間ではすっかり定着して習慣化さえしています。これは破壊された筋肉を素早く修復(同化)させようとするものです。

これに加えて、この「ゴールデンタイムにブドウ糖を摂取する」と筋肉の異化(分解)を抑制できることもわかってきています(運動後でも筋肉の分解=異化は持続しています)。インスリンが分泌されると「筋肉を分解してブドウ糖をもう合成しなくていいよ」という信号が何らかのかたちで伝達されるのだと思われます。インスリンが分泌されることが条件になりますので、非インスリン依存の代謝となる果糖では、この効果は期待できないはずです。パフォーマンスを上げるためには、スポーツドリンクの選び方まで考えたほうがよいということになります。いつ、何を、どれだけ摂取するかで身体の反応が変わることを常に意識することが大切です。

栄養と運動と筋肉③


◎何をどのタイミングで摂取するか

食事、プロテイン、アミノペプチド、アミノ酸を使い分けることができると理想的です。それぞれ吸収率(タンパク質分解時間)に差がありますから、逆に、それを利用するという考えです。プロテインやアミノ酸のサプリメント(粉末やドリンク)は、手軽に持ち運びできて、場所や時間を選ばずに摂取できる利点があります。誰もが胃の中に固形物が入った状態で運動することは避けたいはずです。

高濃度のBCAAが入ったものも市販されていますから、ウォーミングアップ後やトレーニング直後に摂取することも可能となっています。スポーツ栄養学の発展とメーカーの開発努力があってこそ成り立つことです。記録が伸びていくのもうなずけるというものです。

筋肉はパワーの源です。その筋肉を如何に減らさないかがとても重要です。摂取する栄養素とタイミングで、身体の反応が変わることを覚えておくと、生活の中に取り入れやすいと思います。

スピードを上げて走ったことが、記録や結果に結びつく一助になれば嬉しいです。

※ご参考
筋肉は食べたもの(アミノ酸)から作られる」 (ランニングタウン掲載)