弘山勉のブログ

ロードに強い走り~下り坂の走り方<前編>~

投稿日: 2015年 12月 29日 火曜日

ロードの走り方の続編、今回は、「下り坂の走り方」についてです。

上り坂は、重力に逆らって走るのに対して、下り坂は、重力を利用して走ることになります。

下り坂が難しいのは、重力を利用すればするほど速くなり過ぎて、脚が追い付かずに転んでしまう危険が伴うところ。そのために、ブレーキをかけながら走らなければいけないことが下りの特徴です。そういう意味では、重力に対抗して走ることになります。つまりは、重力と上手に付き合う(利用と対抗)ための“ランニングフォーム=動きの技(テクニック)”の習得がポイントなります。

下りが得意なランナーに共通するのは、脚の回転が速いところだと思います。つい谷口浩美さんを思い浮かべてしまうのは、時代が古過ぎますかね。でも、それくらい谷口さんの箱根駅伝6区の走りには強烈な印象が残っています。区間の距離が変更され、谷口さんの不滅の記録が現在の区間記録になっていないのは、個人的には残念な気がしています。

その谷口さんは、宮崎県の小林高校出身ですが、現在、筑波大学に河野誉という小林高校出身の2年生がいます。彼もまた回転の速い谷口先輩を彷彿させる走りを見せます。少し顔を傾けるところまで似ています。彼が、都大路(全国高校駅伝)の2区(下り)で区間賞を獲得したことは、私には当然のことに思えます。

同じ小林高校出身というところに何かあるような気がします。練習環境なのか、走り方の指導なのか、きっと何かあるのでしょう。彼が在籍中に、箱根駅伝出場を果たすことができれば、迷いなく山下りを任せるのですが・・・。本人に、この話しをしたことがあるのですが、反応は微妙でした(笑)。

さて、本題に入りますが、下りの一番のポイントは、膝の動き(制御)です。

極端な表現をすると、下りの走りは、上から飛び降り続けるようなものです。誰でも高台から飛び降りたことがあると思いますが、その際、どこの筋肉と関節でカラダを受け止め(衝撃を緩衝、または、吸収し)ますか?

そのメカニズムと長所・短所を説明します。

1.足関節(を意識)で着地

⇒膝が動く
⇒膝関節も股関節も屈曲する
※主に筋肉の伸張性収縮
◎もっとも衝撃を緩衝(吸収)できる
〇関節が動くので筋肉で衝撃吸収
×筋疲労がどんどん加速する
×次の動作へ移行しにくい

2.膝関節(を意識)で着地

⇒膝は動かない
⇒股関節が屈曲することで膝関節も屈曲
※筋肉の伸張性収縮と等尺性収縮の中間あたり
〇衝撃は、それなりに緩衝(吸収)できる
△次の動作へ移行しやすいほう

3.股関節=大転子(を意識)で着地

⇒膝関節・股関節はあまり動かない(僅かに動くだけ)
⇒腰や臀部周辺の筋群だけで対応
※主に筋肉は等尺性収縮
×もっとも脚(関節)に衝撃を受ける
◎次の動作に移行しやすい

下り坂①

下りの走り方には、上記の3つの種類が存在すると思っています。誤解しないでほしいのは、「実際に運動する場合は、それらの3種類にきっちり分けられるわけではない」ということ。1~3のミックスと考えるべきでしょう。1と2、3のどの意識を強く持つかで、その割合が変化すると考えてもらえればいいのかな、とそんなふうに思います。

それぞれの考えがあるので、あくまで、ご参考として私の考えを述べたいと思います。

私は、「3の股関節を意識した接地」を推奨します。2と3の中間あたりの意識でも良いのですが、3を意識しても2の動きは出てくるので、3の意識だけよいと私は思います。その理由は以下の通りです。

股関節で地面を捉える意識で走ると、足関節も膝関節も動きにくくなります

これを実感していただくために、片脚立ちしてみてください。

1.足裏(足首)に乗る意識で立つ

膝関節も股関節も動きます。おおよそ、脚筋の働きでバランスを取ります。筋肉は伸張性と短縮性収縮を繰り返すので、最もフラフラするはずです。

2.膝に乗る意識で立つ

足関節(足首)と膝関節が固定されるので、股関節を動かしてバランスを取ります。下腿は等尺性収縮し、大腿部や腰部の筋肉が動くので、フラフラする率は下がるはずです。

3.股関節(大転子)に乗る意識で立つ

足関節と膝関節、そして、股関節が固定されます。脚筋群は、全て等尺性収縮を続けるので、脚が一本の棒になります。主にバランスを取るのは、胴体や腕、頭部の位置(重心)を変えるだけで済むので、最も安定した片脚立ちができるはずです。

つまりは、

3の意識で下り坂を走ると足首と膝の関節が動きにくくなるので、

・脚(足)の無駄な動きが減る

・筋疲労がしにくい

・重心が下がりにくい
(下りを走るのにジャンプ動作はあまり必要ないので、カラダを沈み込ませなくてよい)

・骨盤の動き(切り替え)でピッチを速めることができる

これらのことが可能となってきます。

下り坂②
下り坂は“膝の制御”と言った通り、下りの勢い(スピード)に負けて、膝が大きく前に出ていかないようにすることが大切です。これを筋肉でコントロールしようとするとカラダ全体が硬直し、動き(フォーム)が硬くなります。

意識する箇所を設けると、カラダの他の部分は力が入りにくくなるものです。この意識の仕方が大事なポイントだと思います。

次号で、実際の走りの解説をします。箱根駅伝があるので、年内には次号をアップしたいと思います。