弘山勉のブログ

根幹距離を強化するという考え 『3.333分の一』の法則

投稿日: 2016年 6月 24日 金曜日

春のトラックシーズンもいよいよ大詰めを迎えます。リオ五輪の最終選考会を兼ねた日本陸上競技選手権大会が、いよいよ開催されますが、トップアスリートがどんなパフォーマンスを見せてくれるか、楽しみでなりません。

エボーリュからは、中村が800m の表彰台を目指して出場します。3年連続で4位になっている彼は、今年は期するものがあるようです。

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何とか叶えさせてあげたいと思う一方で、忙しさのあまり、ほとんど練習を見てあげることができていません。アスリートとしてしっかりしているので、問題ないとはいえ、客観的な判断は、競技には絶対に必要です。選手の主観だけで、大成できるほど、甘い世界ではないのです。

私も、現役時代は、コーチ不在で、指導者が欲しくて欲しくて仕方ありませんでした。指導者がいたら、もう少しは、成績が上がった??のではないか、少し悔しさはあります。(独学で苦労した分、今があるので、なんとも微妙な気持ちではありますが)

ただ、時々見るからこその気付きもあるのは確かなので、そのあたりのことは、しっかりと伝えてきました。わずかでもいいので、動きの感覚を修正できていれば、チャンスがある気がします。

少し前置きが長くなりましたが、今回は、中長距離のトレーニングの組み立て方について、少し考えてみました。

名付けて、『3.333分の一の法則』(笑)

中長距離の場合(短距離でも同じだと思いますが)、MAXスピードとスピード持続力を考えるのが普通です。ただ、長距離の場合は、トップ(MAX)スピードまでは、あまり考えないかもしれません。

中距離の場合は、100m~400m をどのくらいで走れるかを知ることは必要でしょうし、それを高めるトレーニングが冬季練習になるはずです。長距離の場合は、スプリント能力よりも中距離種目のタイムが指標になるのだと思います。

私は、長距離は、1500m が基本だと考えます。大学では、春先にインカレの1500m を目指す長距離選手は、けっこういます。ですが、実業団の選手となると、少ないような印象を受けますが、実際は、どうなのでしょう?

高岡君や佐藤悠基選手、鎧坂選手、村山紘太選手が、春先に1500mを走っていたことを思い出します。いづれもスピードランナーであり、5000mや10000mでも好記録を出した選手です。

走る競技には、根幹となる距離があると考えています。つまりは、その距離を速く走れるとそれよりも長い「狙った距離」の記録が伸びるといった具合に(当たり前の話で恐縮ですが)。これは、短距離にも言えることです。

長距離で言えば、例えば、
1500m⇒5000m
5000m⇒10000m

経験的に、上記の換算はできます。

高校生は、とくに、1500m と 5000m を走る機会は多いはずです。私もそうでしたが、「1500m を〇〇分〇〇秒走れると5000m は、〇〇分〇〇秒で走れる!」みたいな計算式があったと思います。

何かの法則がありそうです。

ここで、一つの指標から考えてみたいと思います。それは「乳酸」。

EVOLUのスタッフで話して、イーブンペースで走ると仮定して、その速度が持続可能な乳酸値の上限は、大体、下記の数値ではないかな、と。

800m    18mmol
1500m      14mmol
3000m      10mmol
5000m       7mmol
10000m      4mmol
マラソン    2.5mmol

その距離で発生する乳酸の値を見比べたときに、
少し興味深いことが頭を過ぎりました。

1500m の乳酸値の約半分が5000mの乳酸値
3000m の乳酸値の約半分が10000mの乳酸値

根幹距離を証明する関連性が表せるのではないだろうか・・・。

遊び心で、計算式ができるのでは、と思って試算してみました。何となくイメージ通りの結果になりました(笑)。

1500mが5000mに繋がるスピードとした場合、

走行持続可能な乳酸レベルを「1500m=14mmol」「5000m=7mmol」とします。
LT乳酸値を2.5mmolとした場合に、その差は、1500m=11.5、5000m=4.5となります。
1000m当たりに換算すると、1500m=7.666、5000m=0.9

0.9÷7.666=0.117

1500mを3分50秒で走れるとして、3分50秒×3.333=12分47秒
12分47秒×1.117=14分16秒

3.333×1.117=3.723

つまり、1500mの記録を3.723倍すると5000mの記録になる

3分40秒⇒13分39秒 / 3分45秒⇒13分57秒 / 3分55秒⇒14分35秒

距離別乳酸値とLT値との差

同じように、3000mと10000mの関係性も試してみると

走行持続可能な乳酸レベルを「3000m=10mmol」「10000m=4mmol」とします。
LT乳酸値を2.5mmolとした場合に、その差は、3000m=7.5、10000m=1.5となります。
1000m当たりに換算すると、3000m=2.5、10000m=0.15

0.15÷2.5=0.06

3000mを8分30秒で走れるとして、8分30秒×3.333=28分20秒
28分20秒×1.06=30分02秒

3.333×1.06=3.533

つまり、3000mの記録を3.533倍すると10000mの記録になる

※上記の計算式は、筋肉量が豊富な男子の場合に当てはまります。女性は、筋量が少ないので、違う計算式を考えないといけないでしょう。

こう書いているうちに、エボーリュの近野コーチが、800m の日本記録を出した頃は、よく250m の練習をしていたと言っていたことを思い出しました。800m は、250m の3.2 倍。3.333分の一にすると240mですから、非常に近い数字ですよね。

5000m は、1500m の3.333倍。当然ながら、10000m は、3000m の3.333倍です。狙った距離の3.333分の一の距離を強化していく方法は、使えるような気がします。

10000m の記録を狙う時、決まって3000m の練習を入れたことを思い出します。「あるペースで、3000m×3 を600m の繋ぎで3本走れたら、そのペースで10000m を走れる」というのもありますし、弘山晴美の強化練習や刺激でも、よく3000m を使いました。

マラソンなら、12.65kmあたり。果たして、この法則がマラソンにも当てはまるのか、機会があれば、いつか試してみたいと思います。

ただ、12.65kmを速く走るには、3.333分の一の距離である約3.8kmを強化すること。3.8kmを強化するには、1.15kmを速くすること。1.15kmを速くするには、342mを速くすること。

尽きないですが、それぞれの狙った種目で、3.333分の一の距離をトレーニングメニューに反映させる。興味のある方、試してみてください。

次回、もう少し解説するような内容で書いてみたいと思います。