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弘山勉のブログ

トラックとロードで走り方を変えよう「ロードに強い走法とは?」

投稿日: 2015年 10月 22日 木曜日

秋のトラックシーズンが終わり、陸上競技長距離選手は、駅伝・マラソンシーズンに突入。ランナーの方々にとっては、待望のロードレースシーズン到来でしょうか。この夏(春から)までに取り組んだことが表せるといいですね。

先日、行われた箱根駅伝予選会では、筑波大学生は、実力を発揮できませんでした。その一つの要因に、ロード対応力が劣っていた可能性があると考えています。

ただ、一言で「ロード対応力」と言ってもまた、その中には、いくつもの要素が含まれます。

今回は、その要素の一つ「トラックとロードの走りの違い」について、書いてみたいと思います。

トラックとロード

まずは、トラックとロードの特性から

<路面硬度>
トラック(主に、オールウェザー走路)の場合は、ゴムのような素材が使われているために、少し弾む感覚があります。それに対して、アスファルトやコンクリートは、自らの動きで弾むことをしなければなりません。

この路面硬度の差が最も着目される点になります。路面硬度を『衝撃』と置き換えるとわかりやすいかもしれません。

<競技距離>
トラック競技は1万mまでですが、ロード競技の場合は、倍以上のハーフマラソンや4倍以上のフルマラソンがターゲット距離になってきます。

※足や脚、身体に「衝撃を受けやすい動きとそうでない動き」と「疲労しやすい動きとしにくい動き」を今回のテーマにしたいと思います。ロードの他の要素については、次の機会とします。

まず最初に、「衝撃を受けとめる部位は、どこになるのか」を議論するためのポイントとして考えなければなりません。

筋肉、関節、骨のどれかであることは間違いないことですが、どれだと思いますか?

筋肉と思われる方がほとんどだと思いますが、ある意味正解であり、不正解でもあります。表現は難しいですが、筋肉と関節と骨の全てが推進力を生み出すために、衝撃に耐えながら、動いていきます。

予め理解しておきたいのが、骨は関節と筋肉の働きで動き、その関節の動きをコントロールし支配するのが筋肉であり関節自身です。想像すれば分かる通り、フォーム(動き)で、どこの部位がどれくらいの衝撃を受けるかの強さが違ってきますし、骨と関節、筋肉が緩衝しなければならない割合も変わってきます。これらのことを頭に置いて、読んでいただければと思います。

ここからが、本題です。(繰り返しますが、衝撃と疲労いう観点で述べます)

トラック競技の場合は、長くても1万m です。しかも、衝撃がそれほど大きくない走路を走るので、あまりフォームによる影響を受けません。だから、それほどナイーブにフォームのことを考えなくていいと思います。「自分が速く走れるであろうと思う動き」や「力を出しやすい動き」で走ればいいのではないでしょうか。(以前書いたチェンジオブフォームが理想的ですが)

では、走りのタイプ別に、ロードに対しての強みや弱みを考えてみたいと思います。

◇つま先接地◇

つま先接地で、骨盤を動かさない走法の人をほんとうに多く見かけます。膝と足関節の伸展動作だけで進むタイプです。短時間で重心移動ができるために、一瞬のスピード出力は高く、スローペースのラストスパートには強いでしょう。しかし、ハイペースの場合は、意外とスパートが利かない気がしています。その前にペースダウンするイメージを私は持っています(=持続能力次第)。

その理由が、ロードに適した走法かどうかに繋がると思っています。結論から言うと、ロードに適していないと思います(あくまで、走法の話。体力要素は他にもたくさんあります)。

つま先接地の場合、ほぼほぼ股関節が固定されるので、腰が動きにくく、腰への衝撃が強くなります。

つま先立ちで、その場で足踏みしてください。腰(骨盤)は、あまり動きませんよね。つま先で立って、足首を使うほど腰(骨盤)は動かなくなるはずです。

腰の関節(腰仙関節、仙腸関節)が動かないのですから、動きで衝撃を緩衝、または、分散することがあまりできず、筋肉や関節、骨に負担がかかります。仙骨や恥骨の疲労骨折をするのは、こういうタイプに多いと思います。そういった事態を避けるために、ロードの練習を少なくすることが必要になると思います。

また、足の衝撃も強いので、足首関連の筋肉も緊張を強いられます。脚筋だけで走るので、脚筋が疲労しやすいので、後半のペースダウンは大きくなると思われます。

◇かかと接地◇

かかと接地と聞くとベタ足で鈍足ランナーをイメージしがちだと思いますが、そんなことはありません。ダイハツの前田選手を見てください。こんな速いランナーもいるのです。なぜ「かかと接地」が速いのかもフォームだけの観点で説明したいと思います。

かかと接地①

かかと接地の場合、股関節が動きます。股関節が動くということは、腰(骨盤)が動くことを意味します。つま先立ち同様に、今度は、踵で床を押して足踏みしてください。腰(骨盤)が動くのがわかると思います。足の踵側で押すと「腰を使って走れる」ことになります。想像してみてください。脚筋だけで走るのと腰周辺の筋肉も使って走るのと、どちらが疲労しにくいか?を。

骨盤が動くので、跳ばなくてもストライド(一歩で進む距離)が伸びます。さらに、アキレス腱の弾性エネルギーを使いやすいので、跳ぼうとしなくても、跳べるのです。意外やストライドが伸びると思います

跳ばなくていいわけですから、当然、上下動が少なくなり、衝撃も小さくなるというわけです。

前田選手がスピードもあり、マラソンの後半に強いところを見れば、わかると思います。(世界陸上は珍しくペースダウンしましたが・・)

つま先接地の場合は、ストライドを伸ばそうとすると足首と膝伸展を使った跳ぶ動作に近づいていくと思います。衝撃が大きい上に、この動きを持続させるためには、トレーニングを十分に積んで体力を高める必要があります。

つま先と踵

ということで、ロード向きの走法、また、トレーニングに時間を費やせない一般ランナーの方にお薦めする走法は、当然ながら「かかと接地」走法です。

ただし、注意しなければいけないことがあります。1年近く前に、『接地を先に意識した場合の他への影響』で書いたように、かかと接地だけ意識したのでは危険です。

「踵接地を意識すれば他の関節の動きも同時に良くなるわけでは決してない」ことをきちんとお伝えしておきます。(良くするためのポイントが多々あります)

長くなりましたので、続きは次回とさせていただきますが、誤解のないように最後に解説を加えておきます。わかりやすく接地部位で表現していますが、実際は下記のことを指しています。

つま先接地=つま先側で地面を押す(蹴る)

かかと接地=踵側で地面を押す(蹴る)

(つま先接地かどうかは、足の動きで分類されるべきで、「つま先で接地しているからつま側で地面を押す走り」ということを私は指していません=これについては、あらためて説明しますし、短距離の方ならば簡単にわかると思いますが)

まとめると、衝撃が大きく距離の長いロード競技に強いのは、「かかとで地面を押せる走法」です!(と私は思います)

繰り返しますが、かかと接地で走るための動きの修正を同時に図ってください!踵で押して重りを持ち上げるスクワットなども効果的な筋力トレーニングだと思います。また、障害に注意したほうがいいので、前に使用した図を参考として再掲載しておきます。

後ろよりの走り

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